連日の子育てネタで恐縮。
最近の娘(ケメ。もうすぐ3歳5ヶ月)の行動には戦略性というものが見られるようになりました。
それは何かといえば、自分の意思を通すためにわざと泣くということ。
でもこれが上手い。例えば、自らの提案(夕食の前にお菓子が食べたい。テレビが観たい等)が母親に却下されると、ペタンと膝から崩れ落ち、口をへの字に曲げ眉間に皺を寄せると、「うええええええ」と泣きます。
最初は泣き声だけなのですが、感心なのはすぐさま大粒の涙がポロポロと。
この「泣く」という行動に感情がついてくるとでもいうのか、泣いてるから悲しいのだ、と言わんばかりの変化と言うのは見ていて興味深いです。これも一つのメソッド演技って言う奴でしょうか。違うか。
まぁそんな演技(?)にだまされるような妻でもないので、残念ながらそんな娘の努力が実を結ぶことは少ないのですが、この戦術が効かないと分かると、娘は次の行動に出ます。
弱いところから攻めるのは戦略の常道。つまりは私。
非情な母親に対して、
「マミィだいきらいぃぃぃ!」と余計な捨て台詞を吐くと、涙も拭かずに私の元へ小走りで向かってきます。
両手を広げながら「ダディぃぃぃ、だいすきぃぃぃ」
こんな機会じゃないと好きとか言われない俺って何なんだ、と複雑な気持ちを抱きつつ、娘を抱きかかえる私。
でもここで娘の提案を受け入れるわけにはいきません。ただでさえ日頃「あなたは娘に甘すぎる」と言われる身。
悪いがこちらにも事情があるのだよ、とまるで経営陣の顔色を伺いつつ部下を切り捨てる中間管理職のように、私も娘の願いを却下。
コンティンジェンシープランが上手く行かなかった娘はどうするか。
「びえぇぇぇ」と泣き叫びつつ、抱っこする私の手を振りほどくと、身を大地に投げてその悲しみと怒りを全身で表現。
顔を天に向けると、娘はある英単語を叫びます。
「ファーミリーーーーーーーー!!!」
Family?
なぜその言葉を選んだのかは分かりませんが、とりあえず諭そうとする私達。
「泣いても駄目だよ~」
「ファァミリィィィー!」
「お菓子ばっかり食べたら、夕飯食べられないでしょう?」
「ファァミリィィィーーー!」
こちらの言葉も耳に入らない様子で、ひたすらファミリー。
一体何が言いたいのか。
(a)「私にこんなひどいことをするなんて、貴方達はそれでも私の家族か」
(b)「この広い世界のどこかに、私の本当の家族がいるはず。はやく助けに来て」
(c)「私がいてこその家族でしょう?もう一度よくその言葉を噛み締めて、娘の存在が如何に尊いものかを認識しなさい」
とか、そういうこと?そもそも正解はこの中にあるの?
説明を求めても、娘の口からは同じ言葉しか出てきません。まるで"Family"という存在を召喚しようとでもしてるかのよう。
何にせよ、叱ってるのに「家族」「家族」と連呼されるとなにやら自分の家族観というものを考えさせられたりして、あまり良い気持ちはしません。
娘の真意は何か。
ここのところ、そんな謎が私達を悩ませていましたが、先日、その謎を解明する糸口のような出来事がありました。
デイケアに迎えに行った私。
娘は画用紙に向かって鉛筆で何やらお絵かきをしていました。そう、最近は絵も描ける様になってきてます。
「ケメー、迎えに来たよー。何を描いてるの?」
ご機嫌な娘は私を見ると、「ダディ、見て見て」と新しい紙を取り出すと、ぐぐぐっと縦の線を三本。

真ん中の線を指差すと、「This is ケメ」
そして左右を指すと「This is マミィ、This is ダディ!」
おお。象形文字にもなってないような気もしますが、親としては嬉しい限り。
「あらーケメちゃん上手いねぇ!」と言う私。
誇らしげにニヤニヤする娘。
再び画用紙に向かうと、娘は私達三人家族を上から囲むように、ぐいぐいぐいと山形の線を大量に書きなぐりました。

そしてそれらを指差しながら、元気良く叫ぶ娘。
「And...This is ファミリー!」え?…こいつら誰?
ではまた。