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Watchmenの感想 (長文注意)
というわけで書いてみる。

ウォッチメンてそもそも何?とかそういうことは説明しないで進めていきます。それでなくても長いので。

watchpeanuts

まず、ウォッチメンの映画版について語る前に、奇才テリー・ギリアムが2000年に受けたインタビュー記事を引用してみる。

“The problem with Watchmen is that it requires about five hours to tell the story properly, and by reducing it to a two or two-and-a-half hour film, it seemed to me to take away the essence of what Watchmen is about.”

<駄訳>
「ウォッチメン(を映画化する上で)の問題としては、ストーリーをきちんと語ろうとすると約5時間はかかってしまうということ。じゃあそれを2~2時間半の映画にしてしまうと、僕にはウォッチメンの本質というものが消え去ってしまうように思えるんだ」

続けて彼は言います。

“I was happy when I didn’t get the money to make it because I would have been embarrassed if we’d done it.”

<駄訳>
「これを作るためのお金が集められなくて良かったよ。もし作ってたら恥を掻くところだった。」

「未来世紀ブラジル」や「バロン」、「12モンキーズ」と言った、それこそ「よくもまぁこんな映像が作れるもんだ」の代表格のような存在である奇才テリー・ギリアムさえもがサジを投げたこのウォッチメン。

それを今回、監督のザック・スナイダーはどう映画に仕上げたか。

結論から先に言えば、2時間42分という長いけれども限られた時間で、見事な映画にしています。いやほんと、原作ファンなら絶対観るべき映画です。

そもそもこの原作、一般の人が想像する「アメリカンコミック」というものとは異なり、その構造は非常に複雑で、並みの小説なんか相手にならないくらい巧妙かつ精密に作られています。

メインストーリーもさることながら、それ以外の部分も見逃すことが出来ません。

例えば、作品中にしばしばコミック内コミックとして挿入される「Tales of the Black Freigther」というアメリカンコミック。

これは一見単なる海賊をテーマにしたストーリーに思えますが、これはその都度のメインストーリーの登場人物の心情とリンクしていたり、未来の出来事の暗示になったりして、メタフィクショナルな効果を挙げています。

また、各章の最後に引用される文献は、登場人物の自伝、過去と現在の新聞記事やインタビュー記事、果ては精神分析鑑定書なんかが出てきて、世界観に奥行きを与えています。

更には、何気ない会話に隠されたメッセージ、作品中いたるところに隠された暗示やシンボル。

原作者のアラン・ムーア自身がウォッチメンは5・6回繰り返して読めるように出来ていると言ってるくらいで、本当に凄まじい密度の情報が一冊の中に詰まってます。

これら無数の要素のうち、どれを残してどれを省くか、というのが今回の映画化の肝だと思うのですが、監督のザック・スナイダーは素晴らしい仕事をしていると言えます。

ストーリーの本筋を追うために必要な部分と、ファンが待ち望んでいる「ビッグスクリーン」で観たい!というシーンを上手いこと取り出して纏めた手腕は本当に絶賛されるべきだと思います。

って言うか、このエントリの冒頭で引用したテリー・ギリアムの発言が本気だとすれば、この点において、ザック・スナイダーはテリー・ギリアムを超えたと言っても過言では無いでしょう。

この映画、基本的には極限まで原作を忠実に再現しつつも、独自の構成も付け足されているのですが、基本的にその付け足しの部分がまた非常に良い効果を生み出しています。

その独自色が最も強く出ているのがオープニングクレジット。


opening

ストーリーの舞台となる1985年までの前日譚、つまりミニッツマンの黄金期とその衰退を紹介しつつ、スーパーヒーローがアメリカの歴史にどのように関連していたかを表現しています。

原作では様々なシーンで断片的に語られていたものをひとまとめにしつつ、原作には含まれていなかった、ケネディの暗殺、アポロの月面着陸と言った史実とスーパーヒーローとの関連についても触れ、5分ちょっとという短い時間で私達の歴史とは別の歴史を語り下ろすという荒業に挑んで成功しています。いや本当に良く出来たパートだと思いました。

本編に入ってからも、原作のひとコマひとコマをそのまま映画にしたというシーンが展開。台詞もかなりの部分が原作から取り入れられており、安心して観る事ができます。

役者陣の演技、というかキャラクターの再現度も素晴らしく、オズマンディアス一人を除いて全員がもうそのままコミックから抜け出してきたよう。

特にロールシャッハは本当に素晴らしい出来です。

いやもう、最初のシーンで初めてロールシャッハが言う「HURM」と言う呟きの見事さと言ったらもう、原作ファンには感激モノでしょう。

hurm

なんというか、原作モノの映画化でよくある、「ああこの人があのキャラクターなのね・・・ふーん。まあ良いんじゃない」というレベルではなく、「あー!ロールシャッハってこれが実物なんだ!」と思わせるくらいの出来です。

原作には無くて映画で付け足されたものとしては、残虐描写と大人向けの表現(←穏当な言い方)が増量されています。これは・・・正直どうなんでしょうか。

こないだ新聞を読んでたら監督のインタビューがあり、「グロ表現とかそこらへん、ちょっとやりすぎちゃった(笑)」みたいなことを言ってましたが、ええ本当にやりすぎだと思います。

私自身はそこらへんに全然アレルギーがないのですが、駄目な人は駄目かも。

これらのシーンだけで「ウォッチメン」に偏見を持つ人がいるかもしれないので、それが心配になりました。

あとは原作と映画版の最大の相違点と言われている、ラストの改変。俗に言う「イカ」問題について。

実は映画評論家の町山智浩さんが、ブログの中で原作と映画版の相違点についてエントリを挙げていて

1 イカが出ない 

 これは正解と思う。原作読んだ時はイカが出た途端にシラけた



と書かれているのですが、すみません。私はイカが出てこなくてがっかりしました。

いや、わかるんです。映画にしたら多分台無しになるシーンだと思いますし、限られた時間の中でイカのいきさつについて語るスペースはないでしょう。(実際、監督はもしイカを入れようとしたら15分余計に長くなっただろうと言ってます。)

ただ、原作ファンとしては、ザック・スナイダーがここまで特攻隊精神で原作に忠実に映画化するのであれば、是非とも観たかったです。イカ。

ちなみに、上述のエントリの中で、町山智浩さんは、ウォッチメンのプロットのネタ元の"The Atchitects of Fear”を映画版ではしっかり写していることに、監督の真摯なオタク魂を感じる、と仰ってます。

・・・が、であればこそ、"The Archtects of Fear"の着ぐるみに敬意を表するという意味でも、敢えてイカが欲しかった。

まぁ原作ファンというものはどうしても100%満足はしないものですからね。すみません。

あと原作には無くて当たり前なんですが、付け加えられて少し気になったのが、音楽の使い方。

とても上手く使ってるとこもあったのですが、ちょっとだけ違和感があったのが、墓地のシーンのとベトナム戦争のシーンで流れた曲。

監督の狙いも分かるんです。

多分「如何にも」という曲を使うことで、何と言うか異化効果を出そうとしたんでしょうけど、如何なものか・・・ってまだイカに拘りすぎですねごめんなさい。

その狙いは分かるものの、それでもちょっと座席からズリ落ちそうになりました。

原作から抜け落ちているシーンは他にも色々あります。ニューススタンドの親父とコミック読んでる餓鬼、いわゆる「2人のバーニー」の掛け合いや、ロールシャッハ(の中の人)を分析しようとすることで、悪影響を受けてしまう精神科医のくだりは今回の映画版では省かれています

個人的には、この「2人のバーニー」は原作の中でも特に好きなシーンだったので、なんらかの形で残して欲しかったのですが。。。。噂では4時間を越すと言われる、ディレクターズカット版の発売に期待しましょう。

思いつくまま色々書きましたが、原作ファンとしてはこれ以上望めないくらい素晴らしい映画化だったと思います。

くどいようですが、原作が好きな人だったら絶対に観るべき。

原作なんて知らないよ、と言う人はとにかく映画を見て、少しでもセンサーに触れるところがあれば、是非原作を読んでみてください。読まないのは人生を損しています。

そして、映画を観たけど長いだけで話も小難しいしなんか血とかドバドバ出てるし青い人はパンツも履かずに始終ブラブラさせてるし何この変な映画と思った人は・・・・えーと。

ではまた。
【2009/03/12 17:28】 | 布教活動 | トラックバック(0) | コメント(3) | page top↑
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コメント
>拍手付コメント様
返信の手立てがないので、こちらで失礼します。

はじめまして。
とてもうれしい拍手付コメント有難うございました!
書いてよかった・・・。原作はとても素晴らしい作品だと思いますので、読んで好きになってもらえれば幸いです。
【2009/03/15 00:00】 URL | twitetta #mQop/nM.[ 編集] | page top↑
WATCHMENの感想を検索してお邪魔しました。

劇場販売のパンフレットによると、ニューススタンドのシーンも撮影済みでDVD特典に入るとのことですよ。

自分はイカ問題は映画版のほうが構成が巧いと思いましたね。とくに映画版のエイドリアンは童顔ですし、あの顔でイカ召喚だったらなんだか子供の悪ふざけのような感じがしてしまうかもしれませんから(^^;

"SQUID"に関する別エントリも拝見しました。
なんとも洒落のきいたネタで監督のセンスに関心しますね。
【2009/03/30 22:34】 URL | ta2nb #CofySn7Q[ 編集] | page top↑
>ta2nbさん

はじめまして。コメント有難うございます。

ニューススタンドのシーン、DVDには入るんですね。全部撮影したとは聞いていたんで、多分ディレクターズカットには入るのかなと思ってました。情報有難うございます。

ta2bnさんの感想も読ませて頂きました。「いっこのエントリじゃ語り切れない!」という気持ちが表れてて、勝手に同志を見つけた気になりました。

イカ問題ですが、分かるんです。映画にしたらどーしよーもないシーンになるのは理解できるんです。

ただやはり、原作で感じた「地上で最も賢い人間が考えた結果がこれか!(笑)」という衝撃と、あのイラストのインパクトが忘れがたく・・・極彩色で動くヤツを観たかったなぁと。。。

とはいえ、Squidの話を知って、流石に文句が言えなくなりました。あそこまでやられたらねえ。本当にセンスが良いと思います。
【2009/03/31 13:53】 URL | twitetta #mQop/nM.[ 編集] | page top↑
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