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ボブ・リー・スワガー、正気に戻る。
流石にこのタイトルはどうかと思ったのですが、正直な感想なので。

というところで、出版されてからしばらく経ってますが、ボブ・リー・スワガーシリーズの最新刊を読みました。

タイトルはNight of Thunder。
Night of Thunder


スワガーシリーズについては過去エントリなぞを参照下さい。まぁ興味ない人はそもそも読まんでしょうが。(例:私の妻)



まずは今回のあらすじ。


日本でのチャンバラを終え、無事に帰国したボブ・リー・スワガー。
その凄まじい戦いで得た傷は心身ともに完全には癒えることなく、足は常に引きずるようになり、繰り返す悪夢は彼を総白髪にしてしまう。

けれども経済的に豊かになり、新しい家族も増えた今、アーカンソーで隠居生活を送っていた頃には想像も出来なかった程の幸せな生活を送っていた。

そんなボブのもとに恐ろしいニュースが入ってくる。

大学を出たあと、警察担当記者として活躍していた愛娘のニッキが自動車事故に遭い、昏睡状態におちいったのだ。

場所はNASCARレース開催を間近に控えたテネシー州のブリストル。事故はスピード狂の若者が起こしたもののように思えたが、ボブ・リーは自身が過去に関わってきた事件が関係しているのではないかと危惧する。

自らの疑念を払拭すべく、家族を置いて一足先に現地に赴くボブ。

NASCARレースの熱狂で盛り上がる町で、彼は娘を守りつつ単身で事故の原因を探っていこうとする。

そこには、単なる自動車事故では済まない陰謀が渦巻いていたのだ。




というわけで、ボブ・リー・スワガー今回のお題はNASCARでございます。

全体の印象としては、エントリのタイトルにもなりましたが「ああ、ボブ・リーが正気に戻った」というところでしょうか。

構成、ミステリ、アクション、どれをとっても良く出来ていて、前作とは打って変わって(笑)安心して読むことができます。

ボリュームが短いこともありますが、かなりのペースで読み終えてしまいました。

やっぱり銃を持ってこそ、ボブ・リー・スワガーというものですね。「シンチョクギリ」とか言ってるのは似合いません。

あいにくアメリカに来てから運転するようになった車音痴の私は評価できませんが、NASCARレースを舞台にしているということもあって、車関係のデータや描写も色々出てくるので、詳しい人にはそこらへんも面白いのかもしれません。

それよりまず、今回随分と印象深かったのが、ボブが年をとったという事実。

性格が随分丸くなりました。その傾向は前作あたりからも感じられましたが、今回は一層顕著です。

作者のスティーブン・ハンターがどこかで書いてましたが、スワガーは年をとってどんどん父親のアールに似てきているそうです。確かにその通り。アール・スワガーが年をとったらこういう感じになっていただろうなという印象を受けます。

冗談は言うわ、たまたま出会った「負け組」の若者に教えを垂れたり、PCを調べるために、オタク少年を雇ってみたり。他者とのかかわりを避け、一匹狼だったかつてのボブとは別人のよう。

人気シリーズのキャラクターに年をとらせるべきかどうか、というのは物語作者にとって永遠の課題だと言えるでしょう。今年行われたインタビューによると、ボブに年をとらせることにした一つの理由として、スワガーシリーズををアメリカの歴史や文化とリンクさせたいという思いがあったようです。

結果、奇しくもボブ・リーはハンターと同じ60歳になりましたが、そうすると当然派手なアクションはしにくくなります。もう飛んだり跳ねたりとか、はたまた飛行機から飛び降りるのは無理。

総白髪で足を引き摺って歩くボブ・リー自身、今回の物語で何度もそのことを思い知らされます。以前のように素早く走ったり、出てくる相手をねじ伏せることも昔ほど簡単にはいきません。

周囲には「爺さん無理するな」とからかわれつつも、ボブ・リーは娘を襲った犯人を捕らえるべく奮闘します。

上述のインタビューによると、ハンターが考えているのは、今後はボブ・リー・スワガーを科学捜査官(Forensic Detecitive)のような存在にしていくことだそうです。

狙撃や暴力のメカニズムを熟知しているボブ・リーであれば、通常の捜査では見落とされる証拠や矛盾に気付くことができ、また一見関係の無いように見えるそれらを繋ぎ合わせることで、警察などが発見できない事実を探りだすことが出来るというわけで。

腕っ節よりも経験と脳みそで勝負していくということですね。

とはいえ、後半は当然、銃撃戦に次ぐ銃撃戦。後半に行くにしたがって小刻みに章が変わり、物語のボルテージも上がっていきます。

そしてラストの格好良いこと。相変わらずケレン味たっぷりで、とても良く出来たアクション映画を観るようでした。ハンターは本当にこういう「決め」のシーンを書くのが本当に上手いです。

あと、シリーズ物の常として、長年の読者にとっても嬉しい仕掛けがいくつかあります。

ひどいネタバレの無い程度に書くと、例えば、今回の敵として出てくるのがなんとグラムリー一族。

そう、ボブの父親、アール・スワガーのシリーズ第一作"Hot Springs"(邦題:悪徳の都)で登場した悪漢一族の末裔です。血はワインよりなんとかで、相変わらずトチ狂った犯罪大家族振りを発揮しています。しかも聖職者の振りをしてるんだからタチが悪いというか趣味が悪いというか説得力がないというか。

おまけにその一族の中にはなんと「パイ」の姓を持つものまで。

そこらへんの関係について、きちんと説明があるかどうかは読んでのお楽しみですが、彼ら父親と因縁の深い者達が60年近くの時を経て、息子であるボブと相見えるというのは何ともロマンがあって良いですね。アメリカって随分狭いや、とかそういうことは言わない。

それにもう一人、極めつけに懐かしい人物が再登場(そして物凄い勢いで退場)しますが、これも読んでからのお楽しみ。その人物とボブの掛け合いがまた読めるとは思いませんでした。

ただ、文句がないわけじゃありません。

まずひとつ。ニッキだけ異常に年をとってること。

・・・いやそれはダメか。突っ込むのは野暮か。でもねぇ。この作品は2009年という1年先の出来事を舞台にしているのですが、ニッキが生まれた第一作の「Point of Impact」が1994年頃ですから、どう考えてもニッキは15歳以上ってことはないはず。

それが何故いつのまに有能な若手記者に?しかも24歳。ボブが疑問をもつべきのは、事故の原因なんてことより娘が老けすぎてることのほうじゃないでしょうか?

まぁそこらへんはいつものハンターマジック。作者も認めてるように、年数や舞台のつじつまが合わいのはいつものことです。

もうひとつは、ボブ・リー・スワガーがあまりにも無名なこと。

先に書いたように、彼は15年前に全米中を騒がして、タイムやらニューズウィークの表紙を飾った人間です。それが偽名も使わずウロウロしてる割りに、ボブの過去について一人を除いて誰も気付かないてのはちょっとおかしい気がします。

特に法執行機関の連中だったら一発で気付くような気がするんですが。てかグラムリーの連中だって、爺さん世代がスワガー姓の奴にエライ目にあってるんだから、それくらい覚といたらどうでしょうか。あ、ダメか。グラムリーだから。

もっとも、ボブ・リー・スワガーの作品世界におけるこの無名さが、かえって格好良い効果をもらたしているのは事実なんですがね。

平凡な爺さんと油断してたら実は・・・という、なんというか、「水戸黄門効果」とでも言うのでしょうか。しかもこの黄門様は、印籠出す代わりに銃撃っちゃいますから。

まぁなんだ。なので、このボブ、日本人の好みにも良く合うと思います。良く分かりませんが。

とにかく話をまとめるとこの作品、The 47th Samurai以前の4作品("Point of Impact"から"Time to Hunt")に比べると、どうしても軽い印象がありますが、それでも凡百のミステリ作品よりはよっぽど楽しめました。お勧めです。

余談になりますが、この作品中ベトナム語の台詞が出てくるのですが、英訳が書いてありません。

ストーリーの大筋には関係ないからなのでしょうが、やっぱり気になります。・・・と思っていたら、Yahoo Answersに同じ質問があり、回答がついていました。やっぱり他の人も気になるのね。転載しておきますので、原書で読む方の参考になれば幸いです。

ベトナム語:
"Can on co em. Co that gan da va su can dam cua co da cuu sinh mang chung toi."

英訳:
"Thank you sister. You're very brave and your bravery has saved our lives"




更に余談。

なお、前述のインタビューによれば、スティーブン・ハンターは、これからの予定として以下のような作品を予定してるそうです。

まず現在執筆中なのが、非常にクラシックなスナイパーもので、"Point of Impact"(邦題:極大射程)のような作品になるようです。

決して"Point of Impact"の成功をダシにしたいわけじゃなくて、一般にはまだ知られてないような、最新のスナイパー技術について語ってみたいんだと言ってました。これがスワガーシリーズかどうかは不明。

そして次にはアール・スワガーものを構想中とのこと。タラワの戦いをテーマにしたものか、1940年の陰謀渦巻く上海が舞台になるそうです。

ちなみに上海が舞台になった場合には、現代における近接戦闘法の祖であり、コンバットナイフの発明者としても名高いFairbairn とSykesの師弟コンビに出会い、彼らが行った銃撃戦に参加するかも知れないとのこと。それは面白そうだ。

・・・なんだかアールシリーズは「まんが はじめて物語」みたいになってきた印象がありますが、そういうことは言ってはいけないんでしょう。クルクルバビンチョ。

さらに、もっと先の予定としてはアールやボブ、彼らのような人間を生み出す、スワガー家に流れる血(というか遺伝子)はどうして出来たのか、どこからやってきたのかについても書くつもりだとのこと。どうやら、それらを説明するとても興味深い説がハンターの頭にはあるようです。

今年、早期退職制度を使ってワシントンポストを退職したハンター、執筆意欲はますます盛んなようですね。

次作品も楽しみに待ちたいと思います。

ではまた。
【2008/12/05 15:28】 | 読書関連 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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