日本食で、たまに無性に食べたくなるものは色々ありますが、この冬、シカゴで雪煙にまみれながら、私の全細胞が欲していたもの。
それはラーメン。 アメリカのしかもシカゴで美味しいラーメンを食べるというのは、結構面倒なものですが、不可能なことではありません。 有名なところでは日本食スーパーミツワに入ってる山頭火。 個人的には、ここのラーメンは麺がスープに対してかなり大目(アメリカ仕様?)なのと、セットでついてくるネギご飯の存在意義が全くもって不明なので、それほど高い評価は上げられなかったりするのですが、それでもそこそこ食べられます。 他には、最近ではシカゴのダウンタウンのMacy'sに入ってる"Noodles by Takashi Yagihashi"などが有名だそうで。 ここのラーメンはかなり美味しいらしいのですが、ダウンタウンから引っ越してしまってからは、わざわざラーメンのためにダウンタウンまで出るのは億劫だったので、結局食べず仕舞いでした。残念。 また、私の通っていた大学のカフェにあたるNUのNorris Centerには、その名も"NU 寿司"(何て読むかは不明。エヌユースシ?)という、明らかに日本人がやってない日本食コーナーがあり、そこでもラーメンを食べることができます。 ちなみに、そこのラーメンは多分、私の生涯で食べたなかで、一番不味い出来。 おまけに、そこのラーメンはサイドメニューとしてライスをつけることができ、懐かしの「ラーメンライス」なんて粋なこともできますが、なぜかそのライスは「酢飯」、その微妙な酢加減と、ラーメンのパラダイムシフトを迫る凶悪なメインディッシュとで、ホームシックを掻き立ててくれます。 このエントリのために再チャレンジして写真を撮っておこうとおもったのですが、お金をドブに捨てる勇気がどうしても湧かず、文章のみの紹介で失礼。NUにキャンパスビジットなどでお越しの際には是非試して頂ければ幸いです。 そんななか、極々狭い選択肢を潜り抜け、私がこの冬一番食べたのは、エヴァンストンにある"Lulu's dim sum & them sum"のChinese Ramen Noodleでした。 直訳すれば、「中国風ラーメン麺」という言語過剰、意味不明瞭な名前もどうかと思います。ジャパニーズ武士道ロード、みたいな感じ? それより、インパクトがあるのは、その内容物。 ぶつ切りのチャーシューが散らばってるのは良いとして、何故か豆腐が入ってます。俺、味噌汁頼んだっけ? そして次に目を引くのは揚げ餃子がふたつ。餃子を入れるのも良く分かりませんが、更に、そこで何故揚げるのか。 他にも、彩りとしてホウレンソウも入ってたりして。 豆腐と揚げ餃子とホウレンソウ。その方程式から導き出される答えは何か。 別に答えは無いか。 なんていうか、休日に、自分でラーメン作って冷蔵庫のもの色々入れてみました、みたいな具材のチョイス。 これに親しんだ、何も知らないアメリカ人は、ラーメンにはこれらのコンテンツが付き物と思うのではないでしょうか。 将来、どこかで本当のラーメンを食べる機会を得たとき、アメリカ人が「これはミーの知ってるラーメンヌードルじゃノーモア!」などと怒るのではないかと心配になります。 こんな、ちょっと個性的な組み合わせとは裏腹に、麺はそこそこ美味しいです。スープがかなり甘めなのに眼をつぶれば、アメリカでは珍しくある程度温かい状態で供されるので、なんとなくラーメン気分は味わえます。 見た目はこんな感じ。 ![]() お蔭様で、週に一度くらいのペースで、昼食にはこれを食べてました。なんだ好きなんじゃん、という突っ込みはいりません。ええ好きでしたともよ。 といった具合に、地道に自分の中に根ざした日本の食文化を破壊していた私。 今回シアトルに来て楽しみにしていたのは、やっぱり美味しいラーメン。 シカゴとは異なり、シアトルの食のバラエティの豊富さというのは以前も書いた気がしますが、やっぱり魅力です。 というわけで、先日、妻にお願いして、シアトルはダウンタウンにある某ラーメン屋に連れて行ってもらいました。 そこの人気メニューは豚骨ラーメン。麺の固さも何種類からか選べるという本格派です。なんて素敵。ここがあるなら日本に帰らなくても良いかも、とすら思ってしまう。 わくわくしながら待つこと15分。やってきました豚骨ラーメン。 ![]() さすがシアトル、なんだか見た目もキチンとしてます。豆腐も餃子も入ってません。当たり前か。 踊る心に震える指先を抑制しながら、まずはスープを一口。 おお。豚骨スープ。これぞ私の望んでいたラーメン。 温度がぬるめなのが気になりますが、熱いコーヒーで火傷した客が多額の賠償金を手に入れる国、まぁ大目にみましょう。 そして、こだわり(であろう)の麺をすすります。 ・・・・。 なんだこりゃ。 固めの茹で加減を注文したんですが、なんだろうこの食感。 茹で過ぎ?いや、というか、茹で方ってか手順になんか致命的な欠陥があるような。 豚骨ラーメンにお決まりの細めの麺は、なんというか生気がなく、ぐったりしてます。でも芯がある。ような。 彦麻呂なら、「うわー!なんやこれー!麺の集団自殺やー!」と叫びそうな感じ。 フルマラソンを走りきり、もう一歩も歩けないものの、循環器系がフル回転で、身体の芯から火照ってる、そんな選手達が数百人。 みたいな風景が脳裏に浮かびます。 ワインの品評の様な言い回しをすれば、「季節は夏、長雨に濡れそぼった、藁の束を口に含んだような風味」とでも言うのでしょうか。 こりゃ何かの間違いか、と思い、同じメニューを注文した妻の丼からも一口もらいます。 ・・・。 全く同じ犯行手口により、惨劇が繰り返されてます。 なぜこんなことに。 期待していた分、落胆時のショックは激しいもの。 お店の人に、「すみませんけど、これ何かの実験?」と聞こうかとも思いましたが、千客万来で大忙しのようだったので、気が引けて口に出せませんでした。 聞くべきだったんでしょうがね。 よって、これがこの店の本当の味だったかどうかは確証が持てませんが、なんともがっかりな結果。 怒り心頭の妻とともに、犯行現場をそそくさと片付ける私達夫婦。 んなことなら、Lulu's のChinese Ramen Noodleの方が期待してない分、楽しめたような。 やっぱり、アメリカで美味しいラーメンを食べる道は険しいのでしょうか。 そんなわけで、明日からビザ書き換えのために日本に帰国しますが、今度こそ美味しいジャパニーズラーメンヌードルを食べたいと思ってます。 ではまた。 |
酢飯付きの不味いラーメン、想像しただけで大笑いしました。
私の遭遇した最強の「な~んちゃって日本食」はコロラド州アスペンで出てきた紫色のキャベツ入り巻き寿司です。不気味でした。 どうか良いお年を・・・。 シアトルのヤツは宇和島屋の近くの旅行代理店が下にある店のですか?! 昔はおいしいとおもったんですが、多分大味万歳大国に長い事いたによる末期症状だったのかもしれませぬ。
あけましておめでとうございます♪
いよいよ、奥様とも合流されて卒業もまじかですね。 ラーメン・・・どこかの空港で食べたラーメンが、ラーメンじゃなかった・・・あれは何?っていうのを覚えています。 でもうちの近くのラーメンもアジア系の方がバイトで作っていて、これはラーメン?みたいな味です。日本のラーメンも危ういです。 >cyberbabe様
挨拶が遅くなりまして申し訳ありません。。。 酢飯ラーメンは本当にショッキングな出来事でしたが、「紫色のキャベツ入り巻き寿司」ってのも、ちょっと店に放火したくなる一品ですねぇ。 今年もよろしくお願いいたします。 >小春今は@ボストンさん
コメント有難うございます。 シアトルにお住まいだったようで。 確かに宇和島屋近くのお店ですが、私達が言ったのは1階だったような・・・あまり書くと特定してしまうので避けますが(笑) 日本に帰国してみて、私自身の舌も大味万歳傾向に強まってる気がするので、人のことは非難できないかもと思ったりもします。 >mimiさん
明けましておめでとうございます。 ラーメンてのもいろんな定義があるのね、というのが最大の教訓でしょうか。 ちなみに日本に帰ってきてますが、失敗するのが怖くてまだラーメンを食べてません。さてさてどんなもんでしょうか。 |
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