TWITETTA!

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【--/--/-- --:--】 | スポンサー広告 | page top↑
ボブ・リー・スワガー、チャンバラをする。
というわけで、遅くなりましたが“The 47th Samurai”の感想をば。

(なんだか先週から、凄い勢いでこの記事にアクセスがあったので、白文字でネタバレを若干追加しました。まぁ、よろしければご覧下さい。)

the_47th_samurai


まったくこの手の話題に興味がない方はスルーして下さい。長いし。

まずはざっとStephen Hunter スティーヴン・ハンターのご紹介。

Stephen Hunterはワシントンポストの映画批評欄を担当をするかたわら、これまでに13冊の小説と、3冊の映画評論集を出版しています。映画評論の分野ではピューリッツアー賞も受賞してるそうです。

彼の最も有名な小説は、今回紹介する元海兵隊員で伝説的スナイパー、ボブ・リー・スワガーを主人公にしたシリーズ(+外伝)と、その父親であり、やはり優秀な海兵隊員だったアール・リー・スワガーのシリーズ、俗に「スワガー・サーガ」と呼ばれる一連の作品です。このシリーズは、全ての作品が日本でも翻訳されており、出版された年の海外ミステリ作品でもベストテンの常連として知られています。

本来は第一作「極大射程」のみで終わると思われていたと思うのですが、ヒットしたためかシリーズ作品として続けられたようです。そのため、作者もいろんな場所で認めていますが、前後の作品で若干矛盾があったり、追加設定があったりするものの、それぞれの作品で共通するキャラクターや地名が語られており、作品世界に深みを与えています。

ボブ・リー・スワガー作品が第3作「狩りのとき(Time to Hunt)」でこれまでの伏線や謎が解明され、シリーズとして一段落したため、その後父親のアール・スワガーを主人公にした作品が、これまでに4作品出版されてきました。こちらの作品では、歴史上の事件などのエピソードを基に、実在する人物なども作中に登場することも特徴のひとつです。

前回も書きましたが、いったん完結されていたと思われていたボブ・リー・スワガーの新作が、今回の ”The 47th Samurai”です。




"The 47th Samurai" あらすじの紹介。

ベトナム戦争時、その狙撃の腕前からボブ・“ザ・ネイラー(釘打ち師)”として知られたボブ・リー・スワガー。

かつてベトナム戦争から帰還後、隠者のような生活をしていた彼ですが、大統領暗殺未遂事件(「極大射程」The Point of Impact)や、父親の死にまつわる謎(「ブラックライト」The Black Light)、そしてベトナム戦争時代の陰謀(狩りのとき Time to Hunt)と数々の修羅場を乗り越え、現在は60歳近く。

良きパートナーである妻と、大学に通う娘に囲まれ、経済的にも安定し、毎日、アイダホの草原で、引退後に住む家を建てるために、大鎌で振り、草刈りに励む日々。

そんな彼のもとに、片目が義眼、そしてそれを縦に横断したような傷をもつ、退役した元自衛官、フィリップ・ヤノが訪れます。

彼は、硫黄島で戦死したヤノ大尉の息子で、硫黄島についての調査を行っていました。

そして彼がボブを訪れたのは、ボブの父親アールがヤノ大尉の残した日本刀を持ってるのではないかと思ってのことでした。

しかし、硫黄島の戦いで名誉勲章を受けたボブの父親アールは、戦後、硫黄島のことを語ることはほとんどなく、また、他のアメリカ兵のように戦場から「記念品」を持ち帰るような男ではありませんでした。

落胆するヤノ。ボブはとりあえず思いつく先をあたってみると約束します。

ボブの熱心な調査により、当初は存在しないと思われていたヤノ大尉の日本刀が、意外な所で発見されます。

その日本刀を持ち、ヤノに渡すため日本に旅立つボブ。

しかしその、単なる戦争の遺物と思われていた日本刀は、とある人物の注意をひくことになり、惨劇が起こります。

全く勝手が分からない異国で、なんとか真相を突き止めようとするボブ。

自らをサムライのルールで律するヤクザ軍団と、それを操る謎の大富豪がボブの前に立ちはだかります。

そしてこの、いまだにサムライの文化が強く息づく国においては生き残るためには、ボブ・リー・スワガー、彼もまたサムライにならなければいけないことを悟ります。




ざっというと、上記のようなストーリー。

以前のエントリで、てっきりアールとボブのエピソードが交互に語られると思ってましたが、アールの登場はごく数章のみで、大部分はボブが日本で奮闘する部分となってました。

えーと。
感想が難しいです。これ。

まず、これまでのボブ・リー・スワガー作品においては、常に「アメリカ人と銃」というテーマが底に流れていました。それは凶器でもある一方で、自由を勝ち取るための道具でもあり、いまだに国民に銃をもつ権利を認めているアメリカ人のアイデンティティに深く結びついているように見えます。

んで、前回のエントリでも触れましたが、この作品でハンターは銃ではなく、日本刀にその焦点を合わせ、ハンターの目から見た日本人と日本文化、そしてサムライについて語ろうとしたのだと思います。

うーむ。

アメリカ人が描く日本というのは、どうしてこうなってしまうのか。

この作品を書くにあたって、Hunterは、日本刀に限らず、歴史的な出来事や、舞台となる新宿、歌舞伎町など、かなり良く調べ、出来る限り、破綻の無いようにストーリとしてまとめてあるのは立派だと思います。

ネタバレをしないように書くのが難しいのですが、ネーミングやシーンも、説明はされないけれど、その背景にある意味が分かれば更に楽しめるという、浅く読んでも深く読んでも楽しい、そんな良く出来たエンターテイメント作品の基準は満たしていると言えるでしょう。

そこらへんは流石Hunterと言ったところ。

ただし・・・。いちいちセンスがありません。

というのは、アメリカ人が思う「おっ、それクール、すっげージャパンて感じ」という日本が、日本人である私には、どうしてもダサく感じてしまいます。

分かりにくくて済みませんが。

も少し言うと、当たり前といえば当たり前ですが、日本には小説、映画、漫画、アニメ、さまざまなメディアで、もの凄い数の「日本を舞台にしたフィクション」というのが作られてきました。

当然、日本の文化や歴史を下敷きにしたフィクションに関しては、日本人というのは目が肥えてます。超メタボ。生半可な発想、センスじゃ楽しめません。

例えば、馳星周の「不夜城」なんかが良い例で、あれがどこまで現実の台湾マフィアや、歌舞伎町の裏社会について正確だったのかはさておき、「あの世界なら、こういうことありそう」とか、「きっとこんな感じなんだろうな」という読者の期待を、良い意味で上回ることができたのが、あの作品が大ヒットした一つの要素だと思います。

リアリティと、現実離れしない程度のイマジネーションの組み合わせの妙とでも言うのでしょうか。

アメリカ人が書いているので、仕方が無いとはいえ、そこらへんのディティール、語られるエピソードで、まったく逆の効果を生んでいるのがこの"The 47th Samurai"。


読んでると、

「いや・・・、それは80年代の少年ジャンプに載っててもダメだ」

という設定、描写に溢れてます。

(例)
あるジャーナリストが制裁のため殺された。その生首は、ゴルフクラブでつくった三脚に乗せられてるところを発見される。

そのゴルフクラブとは、8番アイアン、9番アイアン、そして3番ウッドだった。

8番・9番・3番・・・893。

そう、それはヤクザが手を下したという犯行声明だったのだ!


(゚Д゚;)・・・。

全編こんな感じ。

アメリカ人なら「オー!クール!ジャパニーズマフィア イズ ソースケアリー!」となるのかも知れませんが、日本人である私には、ちょっと無理だ。それは。

大体、組の名前じゃなくて、「ヤクザ」がやったってのを表明してなにが分かるのか。

レストランで料理が出てきて、「コックが作りました」みたいなもんでないか。

こういう例を挙げていったら本当にきりが無いのですが、こういった、日本人読者には、「うーん・・・それはどうなんだろう。イケてないんじゃないかなぁ」となる場面が多いです。

他にも、ボブに敵対するヤクザ軍団のボス。剣術の天才でもあるこの男の名前が凄い。

近藤 勇。

彼が率いるヤクザ軍団の名前は当然「新撰組」

そして、このヤクザ軍団を雇ってる大富豪、あだ名が「将軍」

もうね。凄まじいネーミングのセンス。

もちろんこれらのネーミングにも、Hunterなりの意味づけがあるのですが、日本人にとっては物語に没入するのを阻害すること夥しい。

また、この将軍にまつわるエピソードもかなり笑えるのですが、さすがにネタバレになるので止めておきます。

と言いつつ、白文字で少しネタバレ↓
この黒幕、日本のアダルトビデオ業界を牛耳ってるという設定。会社の名前は当然「ショーグン・ビデオ」、自らメガホンも取る、超愛国主義的ポルノ監督でもある。いやはや、こんな黒幕、今まで観たことありません。しかも、とあるAV嬢を捕まえて「お前はアメリカのポルノビデオから日本を護るサムライなのだぁ!」とか叫んでたり、本当に馬鹿ですか君は。これ以外にもトンデモ設定が盛り沢山だが、ちょっと狂ってるとしか言いようが無い。

が、ひとつ言わせてもらえれば、Stephen Hunter、変なとこだけ異様に調べすぎ。後書きで「日本人て、メチャメチャ面白いね!」みたいなこと言ってますが、それはあなたの興味を惹いた分野が特殊なだけで、メチャメチャ面白いのはあなたの「脳内日本」ですってば。

そんなこんなで、物語の進行とともに、トンデモ風味が混じった面白さと、物語への感情移入度が反比例する私をよそに、ボブの日本への入れ込み具合は上がる一方。敵・近藤勇と戦うため、とうとう剣術まで習うことになります。

そう、今回、あの伝説的スナイパー、ボブ・リー・スワガーは一発も銃を撃ちません。

ていうか、多分ストーリーを通じて、(敵味方合わせても)使われた銃弾は10発くらいでしょうか。もっと少ないかも。

その代わり、斬って斬って斬りまくります。

このシリーズの決め台詞として「Time to Hunt(狩りの時間だ)」というのがありましたが、今回は「Time to Cut」です。何この軽い語感は。

ラストは敵も味方も日本刀を持っての大チャンバラ。

日本のボブ・リー・スワガーのシリーズ読者にとっては、信じられないような光景です。

戦闘シーンはいつも通りのハンター節で、銃と刀の違いはあれど、時に詳細に、時にダイナミックな、迫力のあるシーンが展開され、ストーリーもこれまた、テンポよく、捻りをいくつか加えて、最後は綺麗に着地。ハンターお得意のパターンと言ってよいでしょう。

この現代の日本とは、ちょっと違ったパラレルワールドとも言うべきニッポン2.0 で繰り広げられるボブの活躍。

どうしても最後まで違和感を感じずにはいられませんでしたが、Stephen Hunterの日本映画に対する愛情だけは暑苦しいほど感じられました。

アマゾンなんかで読むアメリカ人読者の反応も結構良いみたいだし、アメリカ人にとっては正しいHunter小説なのでしょう。きっと。

日本人でも、"Kill Bill Vol.1"や"007は二度死ぬ"なんかが好きな人だったら、きっと面白いと思います。


長い上に尻切れトンボですが、今日はここらへんで。

ではまた。

以下、もうちょっとだけ白文字で叫んでみる↓
日本は、刀とアダルトビデオとロリコンばっかじゃねえよ!AV嬢の名前を並べて感謝の言葉を捧げたり、「痴女」とか「Bukkake」を調べてる暇があったら「切捨て御免」と「辻斬り」の区別くらいちゃんとしてくれ!
【2007/10/18 08:21】 | 読書関連 | トラックバック(0) | コメント(4) | page top↑
<<気に障る。 | ホーム | ミッドナイト・サバイバー>>
コメント
ヤノの経歴がこれまたスゴくて吹きました。
【2007/10/22 20:50】 URL | 通りすがり #-[ 編集] | page top↑
>通りすがりさん

仰るとおりですね。例の刀にまつわる謎よりも、よっぽどその話の方がインパクトがありまいた。しかもかなりあっさり語られるし。アメリカ人からみたら、ああいう設定もそんなに違和感がないんでしょうかね?
【2007/10/23 23:05】 URL | twitetta #-[ 編集] | page top↑
私もちょっと途中で疲れ気味です。

で、これはあくまでも外伝な訳だから、この本は一旦お休みして、今はTWITETTA さん推薦の「POINT OF IMPACT」にシフトしてます。なんだか私好みの内容です。ボブ、クールでカッコイイ!

【2007/10/26 03:28】 URL | cyberbabe #i7obQ..k[ 編集] | page top↑
>cyberbabeさん

"Point of Impact"から"Time to Hunt"までのシリーズは本当に格好良いですよ。1年に一度は読み返してるくらいで・・・。ちなみに私のなかで、ボブはクリント・イーストウッドです。

あと、先日からCyberbabeさんお勧め(?)のVince Flynnの"Transfer of Power"を読み始めました。まさに「Die Hard」ぽく、また、やはり「24」風味も感じられたり。牽強付会でしょうかね。
【2007/10/27 15:09】 URL | twitetta #-[ 編集] | page top↑
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
→http://twitetta.blog39.fc2.com/tb.php/436-b48eae26
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。