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The Twelfth Card
ペーパーバックを読むのが趣味なので、たまには感想なぞを。

「The Twelfth Card」 読了。



ジェフリー・ディーヴァーの最新作。
ニューヨークのハーレムに住む黒人の少女ジェニーヴァ(Geneva)は図書館で調べ物をしていたところ、ある男に命を狙われる。
かろうじて犯人の手を逃れたジェニーヴァだが、その男は、周囲の人間をも犠牲にすることも厭わず、執拗に少女を追い続ける。そして最初の犯行現場にはタロットカード12番目のカード「吊られた男」が残されていた。

一体なぜ彼女は付け狙われるのか?犯人を追うライム達は、なんと140年前にジェニーヴァの先祖が巻き込まれた事件にその秘密が隠されていることを知る。果たしてその秘密とは・・・?
というわけで、基本的に隔年でシリーズが刊行されているリンカーン・ライムシリーズ、前作「The Vanished Man」(邦題「魔術師」)がマジシャンの世界をテーマにして、ケレン味たっぷりだったのに対して、今回は少し趣きを異にします。

前作のような刺激的な面白さを期待すると、今回はちょっと凡作?とがっかりするかも知れません。殺し屋のトンプソン ボイドのキャラクター造形は面白いし、相変わらずのドンデン返しでページターナーであるのは確かなんですが・・・。前作に比べると派手さがないのは確か。なんせ前作はディーヴァー自身が「思いついたら書きたくてたまらなくなって、(その年はライムシリーズを書くつもりはなかったのに)書いてしまった」というような事を言ってたくらいの傑作でしたから。

ただし今回のゲスト(と敢えて言ってしまう。ライムシリーズは、何らかの社会なり専門性を有する人を主要登場人物としてストーリーに組み込むのを常としているので。)のジェニーヴァはとても魅力的に描かれてるように思いました。最初はこまっしゃくれた嫌な餓鬼にも見えるかもしれませんが、読み進むに従って、ハーレムを脱出することを夢見て奮闘する彼女の健気さ、懸命さには心が打たれます。
日本人は恵まれてますね。ニートとか。

毎回テーマについては入念なリサーチを行うのが身上のディーバー、今回読者は、現代のハーレムに住む若者達が置かれた環境や、スラングだけでなく、更には修正憲法第14条の成り立ちまで勉強(?)することができます。

なんだか暗いエピソードばかりだなと思われそうですが、アメリアとボイドの息詰まるチェイス、ある出来事のためパニック障害(?)に陥るセリットーなど、ハラハラドキドキさせる読ませどころはいくつか。ナックルタイム!

あと、「Garden Of Beasts」にて仄めかされていると言われた「Garden Of Beasts」の登場人物とライムシリーズの登場人物との関連についても答えが出ています。なのでシリーズ愛読者はこちらを事前に読んで欲しいところ。邦訳もおっつけ出るでしょうし。

さらに付け加えるならば、「悪魔の涙」のキンケイドが出てます。相変わらずどこまで役に立ってんのか立ってないのか(笑)。ディーヴァーも愛着があるようなので、こちらの続編も読みたいのですが。。。あの専門性を活かすシチュエーションて難しいんでしょうね。

尚、今回ディーヴァーは献辞をあのクリストファー・リーヴに捧げています。かつてはスーパーマンを演じた役者として、そして後半生は脊髄骨折によりまさにライムと同じ障害を負い、2004年10月10日に感染症で永眠するまで、もっとも有名な四肢麻痺患者として医療の発展に貢献した人物です。



ディーヴァーのインタービューによると、リーヴと直接会ったたことはないそうですが、なんとシリーズの2作目、「The Coffin Dancer」(邦題「コフィン・ダンサー」)の映画化が企画されたことがあったとのこと。それは知りませんでした。
権利関係がネックになったために、その企画が実現することはなかったものの、もし映画化されたら本当の四肢麻痺患者が主役として演じるハリウッド映画として映画史に残ったことでしょう。デンゼル・ワシントンが演じた「ボーン・コレクター」に否定的な私としても、本当に残念なことです。

そのリーヴへの献辞がなんらかの意味を持つのか持たないのか、えーと、はい、ネタバレになるので書けませんが、シリーズファンにとっては読まなきゃいけないというエピソードもございます。これが初めてのライムシリーズという方は、どうか他の巻からお願いしたいところ。

先ほどのインタービュー記事によると、2006年にまたライムシリーズの続編を出版するそうな。ノンシリーズ物の「Garden Of Beasts」も面白かったので、無理しないでノンシリーズでも良いのですが・・・いやいや、また続編が読める幸運に感謝致しましょう。

ちなみに他のblogでこの作品について書かれたものを発見したのトラバさせて頂きます。大変面白く読ませて頂きましたので。
今後のペーパーバック選びの参考にさせて頂きます。

リンクはこちら。
ミステリーは英語で読む

【2005/07/06 12:45】 | 読書関連 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
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コメント
>rumidukeさん
彼が吊らされているとは知りませんでした(w
吊った奴ぁ誰だ。
【2005/07/06 20:20】 URL | twitetta #79D/WHSg[ 編集] | page top↑
>鍵コメント様
コメント有難うございました。まだ慣れていないので、トラックバックも恐る恐るで。。。、何か失礼がありましたらお許し下さい。
凄い偶然ですね(w 
ちなみに妻が通うのはHydeparkにあるChicago GSBです。
Chicagoがとんでもなく寒いってのは皆さん口を揃えて仰りますねぇ。
-20℃は以前アラスカに行ったときに体験しましたが、その時は、「うっわー!さっむーい!痛ーい!うきゃー!」とかはしゃいでいただけで、まさかそんな寒い環境で生活するとは想像していませんでした。
でもChicagoでの生活を悪く言う人はあまりいないので、そこらへんは安心しています。勿論不安はありますが。
ライムの名前の由来についての洞察には感心しました。なるほど。。。そういうこともあるかも。
ディーヴァーはライムシリーズや、ぺラムシリーズの"Hell's Kitchen" からNew Yorkへの愛情は感じていましたが、Chicago
への目配りも忘れてないのですね(w
鍵コメントさんのBlogはこれからも楽しく読ませていただきますので、よかったらまた遊びに来てくださいませ。
【2005/07/07 08:36】 URL | twitetta #79D/WHSg[ 編集] | page top↑
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