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キリスト教原理主義者の大学に普通の学生が入学してみたら・・・(前編)
出版されたのは去年ですが、今年読んだノンフィクション系の本では、一番面白かったのでご紹介。

ケヴィン・ルース(Kevin Roose)という人が書いた"Unlikely Disciple"です。

Unlikely Disciple

簡単に内容を要約すると、キリスト教原理主義者がほとんどを占める大学に、リベラルな普通の大学生が「キリスト教原理主義者の振りをして」、1セメスターを学生として過ごした回顧録となってます。

これが素晴らしく面白かった。読んですぐにブログに書きたかったのですが、説明が必要な背景が多過ぎて、書きあぐねている内に、こんなに遅くなりました。

私が出来る範囲で簡潔に書いたつもりですが、それでもとても長いのはお許し下さい。

あと訳の問題。なんせ私自身キリスト教にも、いわゆる原理主義にも全然詳しくないので、不適切/不正解な訳語を使ってる可能性が高いのですが、それもご容赦を。

こんな長いの読めないよ!という方は、私を信用してとりあえず本書を読んでみるか、日本で翻訳が出たら試してみて下さい。

というわけで本題。今回は導入部です(笑)

※紛らわしい表記を訂正しました。(10月5日)



先日も9/11のコーラン焚書騒ぎや、クリスティン・オドネルなんてトンデモ議員の当選が話題にましたが、近年アメリカを語る際によくクローズアップされるのは、いわゆるキリスト教原理主義者という存在。

それについて語ったものでは、ドキュメンタリー映画では「ジーザス・キャンプ」が有名なところでしょうか。
映画評論家の町山智浩さんが一時期積極的に紹介されていたので、それで存在を知った人も多いかもしれません。

どういう人たちかと言うと、彼らは聖書に書いてあることを「そのまま」真実として受け取って、その教えを忠実に守ろうとしている人たちです。
例えば、世界はおよそ6000年前に神が7日間で創造したもので、アダムとイブが最初の人類。ノアの箱船は大洪水のなかをドンブラコしたって信じてるわけです。

進化論を否定したり、学校でID論(世界は何らかの知的存在によって作られたという、進化論に反対する人たちが唱える説)を教えるように訴えたり、同性結婚に強行に反対したり、地球温暖化は陰謀だと言ったり。

日本でたまに見かけるアメリカ発のニュースで「なんじゃそりゃ?」と思わせるような話は大体このキリスト教原理主義者が絡んでることが多いです。

宗教心が薄いと言われる日本とは違って、プロテスタントの流れを汲むこのキリスト教原理主義者の数は米国でも多く、また富裕層が多いことから、アメリカの政治に多大な影響力を持つことでも知られています。

ブッシュ大統領の最大の支持基盤だったことでも有名ですね。

そのキリスト教原理主義者の中でも大物中の大物というのがいました。2007年に亡くなってしまいましたがバプティスト派の牧師、ジェリー・ファルウェル(Jerry Falwell )という人物です。

まずはこの人物の説明をしなければいけません。

古くは1979年に「モラル・マジョリティ(道徳多数派)」というキリスト教に特化した保守系政治団体を結成、保守派のロナルド・レーガン政権誕生の一つの推進力になったことで有名ですし、上述のように2004年のブッシュ再選でも勝利に多大な貢献したと言われています。

テレビ伝導師としても有名で、政治的にはバリバリの保守、その過激な発言・行動は何度も大きな騒ぎになりました。

有名なところではこんなのがあります。

・9/11は天罰説

9/11直後に発言してかなりの話題になったのがこの発言。彼は9/11をアメリカから伝統的な宗教を排除する動きに対する神の怒りの表れとして、その責任の一端は、異教徒、中絶を行う医師、フェミニスト、そしてゲイやレズビアンの活動家、米国自由人権協会などにあると指弾しました。

実際の発言の様子。



・地球温暖化はでっちあげ

彼らは地球温暖化説というのは政府から金をもらっている科学者達による陰謀であるとの説を唱えています。
ちなみに彼らが地球温暖化が嘘であると唱える根拠の一つは、「聖書に書いてあるから」ということらしいです。

知ってました?もう少し詳しく書くと、ノアの洪水の後、神は二度と洪水によって人類を沈めるようなことはしないと約束してるから、温暖化のようなことは起こらないんだそうです。わお。

・テレタビーズゲイ疑惑

テレタビーズ。昔日本でも人気がありましたが、あの登場人物中の紫の奴はゲイという説を唱えました。
「やつは紫色、紫はゲイのシンボルカラー。そしてやつの頭についているアンテナは三角形。ゲイ・プライドシンボルマークだ」からとのこと。

一番右の奴です。見りゃ分かるか。


・クリントンクロニクル

これはあんまり日本では知られていませんが、ファルウェル一派はクリントン政権時代にクリントンを中傷するビデオを配ったことで知られています。内容と言うのが、クリントンはコカイン中毒で、ドラッグの密輸やマネーロンダリング、セクハラなどをしており、更には当時の大統領次席法律顧問ビンス・フォスターや多数のジャーナリストの死に関与していると糾弾した衝撃的なもの。このビデオ(当時はVHSなので)はすぐに反証され、デマカセというのが判明しましたが、30万部も配布されたと言います。

そのほかにもTV番組の中で「エイズはホモセクシュアルに寛容な社会に神が与えた罰だ」とか、ムハンマドをテロリスト呼ばわりしたりと、まぁそのトンデモ発言には枚挙がありません。

こんな発言をしているファルウェル、日本だったら到底支持を集められないと思いますが、全米最大級のメガチャーチを率いていました。信者の数はおよそ2万人。

そして、なんと大学まで設立しています。

その名もリバティー大学。ヴァージニア州リンチバーグに存在し、基本的にキリスト教原理主義者を対象とした教育を行っています。

別名「バイブル・ブートキャンプ」

この大学はおそらく全米でも指折りの保守的な大学として知られ、学生は46pの行動規範、リバティーウェイと呼ばれる規則を守らなければいけません。破った場合は罰金および罰則点と言ったものが付けられます。

たとえばこんなルール。

・酒、タバコの所持、使用の禁止。酒を飲む場所に居合わせてもいけない。
・どんちゃん騒ぎ禁止。
・門限は厳守。
・ダンスパーティーに行ってはいけない。
・カーシング(罵り言葉)を言ってはいけない
・R指定の映画を観てはいけない。
・手をつなぐ以上の個人的な接触は禁止。ハグは3秒まで。
・異性と一晩を過ごしてはいけない。というか、異性の寝室に入ってはいけない。
・男子の髪型は襟にかかってはならず、耳が出ていなければいけない。

などなどなど・・・その学生生活は楽しいのか?

当然、宗教大学ですから、そこで教えられる内容もキリスト教原理主義に基づいたもの、具体的にはキリスト教原理主義者の解釈による(かなり偏った)聖書の内容を学ぶとともに、現代社会に蔓延る不信心な人たちに如何に論理的に対抗するかを学ぶ内容になっています。

たとえばリバティー大学では進化論を教わるのですが、そのクラスで教わるのは進化論が正しいということを教えるのではなく、進化論がどれだけ「間違ってて」「馬鹿げてるか」というのを生物学の学位をもった教授が懇切丁寧に教えてくれます。あこれ、ちなみに必修科目です。

こんなふざけた話を聞くと、なんだかリバティー大学は私塾に毛が生えたようなところかと思うかもしれませんが、これがなんと立派なリベラルアーツの総合大学。

神学部だけでなく、法学部、工学部、航空学部などもあり、その生徒数は1971年にはたった154人だったのが、2007年ではオンラインで受講している人を含めるとなんと2万5千人。

日本の大学で言えば、例えば中央大学と同じくらいの規模になります。

勉学以外の分野でも学生たちは優秀な成績を残しており、この大学のディベートチームは全米でも有数の強豪だそうですし、スポーツではメジャーリーグやNFL、NBAの選手も輩出しています。

弁護士や政治家を目指す人も多く、大企業のトップにもここの卒業生がいるそうで。

個人的にはシカゴとシアトル、どちらも比較的リベラルな都市に住んでいたこともあり、学生時代のクラスメイトや妻の元上司にも敬虔なキリスト教徒はいましたたが、いわゆるキリスト教原理主義者と接近遭遇した経験はありませんでした。

・・・いや、昔ESLに行っていたときにクラスメイトだった韓国人のS、いま考えてみれば彼はかなりそっちの方だった気がします。ってあれは韓国系キリスト教徒か。そっちはそっちで全然話が違うので割愛。

こんな具合に結構な規模を誇るリバティー大学ですが、実はアメリカ人にとってもキリスト教原理主義者というのはそれほど身近じゃないという話もあります。本書にも挙げられている調査によれば、アメリカ人の51%は交友関係にキリスト教原理主義者がいない、というも説もあるそうで。

一方で定義や調査団体によって数がばらけますが、一般的にアメリカ人の3割がキリスト教原理主義者とも言われてます。ものによっては4割なんてのも。

存在は知ってるけど、実際には話したことがない、そんなアメリカ人が多いってことですね。極分化してるってことかもしれません。

じゃあその、話には良く聞くけど、そういうキリスト教原理主義者の人たちが通うリバティー大学っていったいどういうところなんだろう、そこではどんな学生生活が営まれているんだろう。

そんな疑問を持ったのが、今回紹介する本の著者、ケヴィン・ルースです。

彼自身はクエーカー教徒の家庭に育ったものの、キリスト教信者とはほど遠い普通の学生です。
しかもブラウン大学というのは、アメリカの大学でも特にそのリベラルな校風で知られたところ。

彼は19歳のとき、とあるジャーナリストの元でインターンをしていて、リバティー大学の学生たちとほんの少しだけ話す機会がありました。そこで、自分とはまったく異なる学生生活を送っている彼らに衝撃をうけます。

普通だったら「いやー自分と同世代なのに、変わった連中がいるもんだ」で終わりそうですが、彼はそこでなんとブラウン大学からリバティー大学に一セメスターだけ編入して、この「バイブル・ブートキャンプ」を実際に体験しようとします。
しかも、キリスト教原理主義者のフリをして。

この本のタイトル、"Unlikely Disciple"というのはおそらくアメリカ人作家が書いた"Unlikely Spy"(日本ではマルベリー作戦」)からとったものだと思うのですが、まさにニセ信者の振りをする彼はまさにUnlikely Disciple(ありそうもない/疑わしい 信者の意) 。

彼が「バイブル・ブートキャンプ」で見聞きするものは何なのか、潜入を終えた後、彼の世界観に変化が起こるのか?

というところで、偉い長くなったので、実際の感想については次回に。

ではまた。

Unlikely Discipleが出版されるときに作られたトレーラー(4分)



今回書いた内容はほぼこの動画を見れば分かります(おい)
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【2010/10/05 14:12】 | 読書関連 | トラックバック(0) | コメント(4) | page top↑
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